2018年10月9日火曜日

熱海

2018年10月5日、熱海で演奏をさせていただきました。
熱海の観光を盛り上げようという企画、熱海芸術祭2018の一環に、Duoというテーマで日替わりで8組の奏者による30分のコンサートが企画されました。
私は龍笛の伊崎善之さんにお声掛けいただき、龍笛と笙のduoで出演しました。

越天楽
胡飲酒序
長慶子
熱海(この日のためのオリジナル曲)
アメイジング・グレース

笙と笛のduoでは、普段篳篥の壁に消されてしまいがちな笛の音たちがよく聞こえ、特に胡飲酒序は三管の合奏とは一味違った味わいで、演奏していて楽しかったです。伊崎さんが旋律を創った熱海と名付けた曲には、笛の古典的奏法が存分に凝らされていて、私は古典の合竹をベースに伴奏したのですが、笙をつけることによって師である芝祐靖先生の影響を深く受けた旋律線がよりくっきりと浮かび上がり、それも面白いことと思いました。

お招きくださった熱海市芸術祭実行委員の皆様、企画・制作をされたオペラ季節館の皆様、プロデューサーの伊勢谷宣仁様、龍笛の伊崎善之様、そして雨の中聴いてくださったお客様、皆様ありがとうございました。


熱海芸術祭2018
https://www.ataminews.gr.jp/ad/201810artatami/

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2018年10月1日月曜日

小名木川物語

音で少しだけ参加させてもらった「小名木川物語」を鑑賞に新橋まで。主演の徳久ウィリアム幸太郎さんと、ものすごく久しぶりにお会いして、髪の色以外なんにも変わらない感じがして可笑しかったです。

映画は、一生懸命追わなければならないような難しい筋はなく、だからといってドラマがない訳でなく、美しい小名木川周辺の映像があり、そこに根差した人々が時に本人役で登場したり、祭や日々の生活の風景が登場するドキュメンタリーの要素があり、地域の、時代の史料としても価値のあるものだと思いました。

音楽を担当された岡野勇仁さんの音楽は、登場する音風景と、人物の心象とを上手にスライドさせながら溶け合う素晴らしいものでした。

2つの印象的なシーンで、笙の音が流れて嬉しかったです。一緒に録音した箏の音がまた素晴らしく映像と合っていて、今西紅雪(玲子)さんの持つ力を感じました。また、別の場面でたくさん登場する行川さをりさんの声も格別でした。そこここに登場するクラリネットの音も印象的だったなあ。

光栄にも、映画のあとのトークショーの際にプロデューサーである故・東海 亮樹さんの奥様で、この映画に大変御尽力されている東海明子さんが私のことも紹介してくださって、ちゃっかり大西監督と写真を撮っていただくことができました。

またこれからも上映の機会があるそうですので、皆様ぜひ、この美しいローカルムービーをご覧になりに、お運びください。

映画のあと、大西みつぐ監督とウィリアムさんのトークショーの間中、プロデューサーの東海さんがスクリーンの前で満面の笑みを浮かべている姿が見えたように感じました。

小名木川物語公式サイト
http://onagigawa.com/

今日の上映会のこと
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大西さんと撮ってもらった写真
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2018年5月3日木曜日

ブルーノート

今日は初めてブルーノートというジャズを聴かせる店の昼公演に行ってみた。夫が一昨日通勤中にラジオを聴いていたら、アルパという南米のハープをするらしいことを聞きつけて、ゴールデンウィーク唯一一緒の休みだからと誘ってくれた。アルパ、ドラム、ソプラノサックスのトリオだった。本当はヴォーカルも来日する予定だったけど来られなかったんだって。若いドラム奏者はずっとアルパ奏者をガン見していて、自分の出番の合図を待っていた。途中お茶目にクラッピングを聴かせてくれた。アルパ奏者はアルパをいろんな奏法で弾いたり少しトークする他に、シャカシャカとラトルのような楽器を鳴らしたり芸達者だった。アルパのソロは優しかったり深かったり、多彩な響きを聴かせてくれた。アルパは弦が多いから、1人で低音も高音も担当できる上に、胴を打つと打楽器にもなって便利な楽器だと思った。飛行機に乗せるのは大変そうだけど。今日の公演はブルーノート3daysの3日目で、2ステージ入れ替えの1回目だった。2ステージ目があるのに、拍手に応えてアンコールで枯葉モチーフの曲をたっぷりと聴かせてくれた。クールに見えた若いサックス奏者はアンコール曲を随分盛り上げてくれた。

小屋というには大変立派な建物を出ると、赤い夕闇の中に薄いブルーの空が覗いてた。


アルパ:Edmar Castaneda
サックス:Shlomi Cohen
ドラム:Rodrigo Villalon

2018年3月27日火曜日

人生は40歳になってからが面白い説

何歳になっても唱えられるまじないのようである。なくなるのは若さばかり、あとは経験値が上がって羞恥心が減って、自由になるお金と不自由なお金の区別がついて、大変楽しい。
恵まれているのかもしれない。確かに、食う寝るところに住むところに困っていない。ごはんを食べさせてくれる夫がいて、たいへん可愛らしい娘ももう手間はかからない年齢になった。仕事も今はある。ない時もあるけど。

音楽に対する意欲と過剰な美意識で、怖くなって遠のいた。一年。考えたり暮らしたり暴れたり酒呑んだり。結果、音楽は私にとっては美しくて面白くて怖い友達なのだということ。人格はないけれども、それは人付き合いに似ていて、子を育てるように慈しみ、友と語るように朗らかに、誰かを愛するように親密に、時に嫌悪して逃げ回って結果、逃げ切れないことが判明した。

自転車に乗ることに例えることがあるのだけれども、獲得した技能というものは忘れない。忘れたと思っていてもやってるうちに思い出す。

楽団の演奏会にまた出演させてもらうことになりました。笙という楽器は大変美しく、繊細であるため手間がかかります。手間をかけすぎて精神を病むことが起こりやすい楽器です。ですがそれほどに美しいので、いつか聴いてください。