2017年8月24日木曜日

3月、伊那

3月、なつかしい伊那で演奏会がありました。旧井澤家住宅に雅楽の音色を響かせました。伊那に招いていただく度に、私は16歳の頃お世話になった伊那のお母さんに会いに行きます。今年はちょうどお母さんの75歳のお誕生日と訪問が重なったため、笙を鳴らしてお祝いをしました。朝起きて、一緒にイーネという名前のわんことお母さんと、伊那谷の畑や牧場の間を散歩しながらこの土地を開墾して豊かにした人々の話を聞きました。朝鮮半島から奴隷のように連れてこられて労働をさせられた人たちがいるのだけれども、歴史のどこにも遺されていなくて、勉強していないと忘れ去られてしまうことを教えてもらいました。前の日、演奏会が終わった後はお母さんの長女、高遠に住むかおるちゃんの家に泊めてもらいました。かおるちゃんは山暮らしをしていて、男の子を二人育てていて、大工の旦那さんがいて、そして電磁波過敏症であるために電波のない土地を探してそこで暮らしています。自然の美味しい食べ物、添加物の少ないもの、手間をかけた素朴な食べ物、人工的な刺激の少ない、豊かな自然により近い生活。かおるちゃんを見ると、生き物としての人の正しい生き方について考えずにはいられません。そこには強い知性があって、美しいです。都市とその近郊に暮らす私とは随分違う暮らし方なのですが、力強くしなやかに生きていて、素敵だな、と素直に感心してしまいます。
かおるちゃん、伊那のお母さん、また会いに行きます。今年は会えなかったけど、妹のみちるちゃんにも、次は会えますように!