2017年8月24日木曜日

3月、伊那

3月、なつかしい伊那で演奏会がありました。旧井澤家住宅に雅楽の音色を響かせました。伊那に招いていただく度に、私は16歳の頃お世話になった伊那のお母さんに会いに行きます。今年はちょうどお母さんの75歳のお誕生日と訪問が重なったため、笙を鳴らしてお祝いをしました。朝起きて、一緒にイーネという名前のわんことお母さんと、伊那谷の畑や牧場の間を散歩しながらこの土地を開墾して豊かにした人々の話を聞きました。朝鮮半島から奴隷のように連れてこられて労働をさせられた人たちがいるのだけれども、歴史のどこにも遺されていなくて、勉強していないと忘れ去られてしまうことを教えてもらいました。前の日、演奏会が終わった後はお母さんの長女、高遠に住むかおるちゃんの家に泊めてもらいました。かおるちゃんは山暮らしをしていて、男の子を二人育てていて、大工の旦那さんがいて、そして電磁波過敏症であるために電波のない土地を探してそこで暮らしています。自然の美味しい食べ物、添加物の少ないもの、手間をかけた素朴な食べ物、人工的な刺激の少ない、豊かな自然により近い生活。かおるちゃんを見ると、生き物としての人の正しい生き方について考えずにはいられません。そこには強い知性があって、美しいです。都市とその近郊に暮らす私とは随分違う暮らし方なのですが、力強くしなやかに生きていて、素敵だな、と素直に感心してしまいます。
かおるちゃん、伊那のお母さん、また会いに行きます。今年は会えなかったけど、妹のみちるちゃんにも、次は会えますように!

2017年5月19日金曜日

2017年前半

今年のコンサートは楽団の公演からスタートしました。1月9日(月・祝)札幌のキタラホールにて、昼公演で鉦鼓、夜公演で笙の役をあずかりました。昨年末に体調を崩したため様々に心残りはあるのですが、楽団の一員として働くことができました。
18日、文化庁の事業で東大和市の中学校に行きました。生徒さんの前で越天楽を演奏した他に、唱歌を歌ってもらったり管楽器を体験してもらったり、雅楽のお稽古の導入部分を感じてもらいました。
2月5日、しのばず雅楽会さんの公演を聴きに行きました。しのばず雅楽会は東京藝大雅楽科出身の有志の集まりとのこと、これからの民間の雅楽を担っていく人たちの素晴らしい演奏を見ることができました。19日、箏奏者スコット・ジョーダンさんの呼びかけで「邦楽即興企画」がありました。声、息、弦、舞踏、4つのグループに分かれて即興演奏をしました。尺八の小濱明人さん、alive paintingの中山晃子さんと息の組でご一緒しました。尺八の音に音楽の進行を委ねて、paintの中山さんの描く絵と笙の音とが一緒になって、絵空箱という空間・時間をシェアすることができました。20日、国分寺市の並木公民館にお招きいただき、「世界の音楽を知る」という講座の1回目「笙の世界〜日本とアジアの民俗音楽」で笙の紹介をしました。国立音楽大学附属楽器学資料館館長であり、私が大学時代にとてもお世話になった(広義の)音楽学の恩師である横井雅子先生が、世界の様々な笙を紹介する講義の中で、古典の調子と現代音楽を演奏しました。
3月5日、長野県伊那市での演奏がありました。(つづく