2018年3月27日火曜日

人生は40歳になってからが面白い説

何歳になっても唱えられるまじないのようである。なくなるのは若さばかり、あとは経験値が上がって羞恥心が減って、自由になるお金と不自由なお金の区別がついて、大変楽しい。
恵まれているのかもしれない。確かに、食う寝るところに住むところに困っていない。ごはんを食べさせてくれる夫がいて、たいへん可愛らしい娘ももう手間はかからない年齢になった。仕事も今はある。ない時もあるけど。

音楽に対する意欲と過剰な美意識で、怖くなって遠のいた。一年。考えたり暮らしたり暴れたり酒呑んだり。結果、音楽は私にとっては美しくて面白くて怖い友達なのだということ。人格はないけれども、それは人付き合いに似ていて、子を育てるように慈しみ、友と語るように朗らかに、誰かを愛するように親密に、時に嫌悪して逃げ回って結果、逃げ切れないことが判明した。

自転車に乗ることに例えることがあるのだけれども、獲得した技能というものは忘れない。忘れたと思っていてもやってるうちに思い出す。

楽団の演奏会にまた出演させてもらうことになりました。笙という楽器は大変美しく、繊細であるため手間がかかります。手間をかけすぎて精神を病むことが起こりやすい楽器です。ですがそれほどに美しいので、いつか聴いてください。